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電車で行ける天文台!?
“日本のへそ”で、宇宙と科学に想いを馳せる。にしわき経緯度地球科学館「テラ・ドーム」 学芸員高原 摂竜さん(たかはら せつろう)
東経135度と北緯35度が交差する“日本のへそ”のまち、西脇市。にしわき経緯度地球科学館「テラ・ドーム」は、まさしく“日本のへそ”地点に整備されている「日本へそ公園」内にあります。メタセコイアの並木道を抜けていくと、突如現れる不思議なかたちの建物。
学芸員の高原さんに、施設の魅力をお伺いしました。
にしわき経緯度地球科学館「テラ・ドーム」は、どんな所ですか?
高原さん:ここは東経135度と北緯35度が交わる地点、つまり、北海道から沖縄まで続く日本列島の東西南北の中心にあたる“日本のへそ”にある科学館です。2023年6月でちょうど30周年を迎えることができました。科学館のまわりが「日本へそ公園」という、子どもたちに人気のある公園として整備されたこともあり、館内は子どもから大人まで見てさわって楽しめる展示を充実させています。
目が回った人の顔のような不思議な外観をご覧いただいたと思いますが、実は中がプラネタリウムになっているんです。入った方はみなさん驚いていらっしゃいますね。あとは、口径81cmの大型反射望遠鏡を備えた天文台があります。望遠鏡は、兵庫県内で3番目の大きさ。晴れた日には、昼間でも一等星や金星、太陽などを見ることができます。
「日本のへそ」から見上げる星空は、なんだか特別な感じがしますね。
高原さん:当館の最寄り駅は、加古川線の「日本へそ公園駅」というちょっと変わった名前の駅ですが、ざっと調べたところ口径60cm以上の望遠鏡がある天文台の中では、日本で一番駅に近い天文台と言えるかもしれません。“電車で行ける天文台”ですね。一般的に、天文台は星を見るために都市部から離れた山の上にあることが多い。ところが当館は、阪神エリアから近いうえに夜空も暗く、本格的な望遠鏡も備わっていて、電車で行くことができる。それはとても良いことだと思いますので、ぜひ電車でお越しいただきたいですね。加古川線で、ちょっと宇宙に近づくことができますよ!
もし加古川線がなくなったら、この施設はどうなると思いますか?
高原さん:近くの小学校の遠足や学校行事など、当館に電車で訪れる方は結構いらっしゃいます。電車がなくなると、星や宇宙に興味がある子どもたちの来館手段がひとつなくなってしまう…。すると「ちょっと行ってみよう」という気持ちまでなくなってしまう可能性がありますよね。子どもたちの将来の夢まで消えてしまうのでは?と考えると、それはとても残念なことです。
すぐ近くには「西脇市岡之山美術館」もあるんですね。
高原さん:日本へそ公園駅から歩いて1分の気軽に楽しめる美術館です。磯崎新氏が設計した三両編成の列車をイメージした建物で、西脇市出身の世界的な美術家・横尾忠則氏の作品や現代美術の展示を目的に作られたそうです。川の向こうから見ると、日本へそ公園駅に電車が停まっているように見えますよ。
「日本へそ公園」のテーマは、“芸術と科学の融合”なんです。駅から美術館へ行き、公園を散歩して、当館を楽しんでもらう。幸い、加古川線は次の電車が来るまでたっぷり時間がありますので(笑)、じっくりと楽しんでいただけると思います。
のんびりと走る電車に揺られ、時を忘れて宇宙と科学の神秘、さらに芸術の世界にどっぷりと浸かる。加古川線で訪れるには、ぴったりの場所ではないでしょうか。季節によって表情を変える日本へそ公園の草花や木々にも注目です。
宇宙の神秘にふれてみま線?
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にしわき経緯度地球科学館「テラ・ドーム」
所在地 〒677-0039
兵庫県西脇市上比延町334-2TEL 0795-23-2772 開館時間 10:00~18:00 休館日 月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日(土・日・祝日は除く)、年末年始(12/29~1/3) アクセス JR加古川線 日本へそ公園駅下車 徒歩約5分 URL http://www.nishiwaki-cs.or.jp/terra/