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加古川線を残すには、失敗したっていい。
やってみなきゃ始まらない。久下自治振興会 前会長岸本 稚世さん(きしもと ちよ)
丹波市の久下自治振興会会長として、地域に活気をもたらそうと尽力した経験をお持ちの岸本さん。会長を辞任した現在も、変わらず地域を盛り上げるイベントを企画しているそう。
さまざまなイベントの企画・運営をしてきた岸本さんは、加古川線の現状をどのように思っているのか、お話を伺ってきました。
岸本さんはいつ頃から地域の活動をされているのですか?
岸本さん:丹波市観光協会勤務のときに観光事業の一環ということで、平成18年頃から約8年間、丹波市鉄道利用増進事業に参加しておりました。その事業のなかで、西脇市駅から谷川駅までの加古川線沿線の活性化を考える会のみなさんと活発に意見交換をしていました。
利用促進活動をするなら、まずは自分たちからということで、当時はお互いの会議場所まで必ず加古川線を利用して行く「加古川線に乗ろう会」なんていう取り組みもしていましたね。ちなみに私が名付け親(笑)。
これまで利用促進施策としてどんなことを?
岸本さん:いやー、それはもういろいろとやりましたよ。
例えば「歌声列車」なんてのをやりましたね。これはね、北播磨県民局さんとコラボしたイベントなんです。加古川駅から谷川駅まで、ずーっと向き合って歌いながら来て、帰りもみんなで歌いながら加古川駅まで帰るっていうイベントなんです。この「歌声列車」は多くの人に楽しんでもらえて、何回も開催したんですよ。だけどね、今はそういう催しが全然なくなっちゃって。
丹波市の隣町ということで、よく黒田庄とはコラボしていたんだけど、西脇市と合併してからは市と市だからかね、なかなか一緒にやらなくなってしまって残念。機会があったら、またいろいろイベントなんかをしたいんだけどね。
加古川線を盛り上げるのに大切なことは?
岸本さん:この前ね、久下村駅で「久下村夜市」っていうのを開催したんです。西脇市からも市長さんや市会議員さんをはじめ、たくさんの人に来ていただいて、本当に盛り上がったんですよ。それでね、夜市に向かう加古川線の車内もたくさんの人でいっぱいでね、ほんと見たことないくらいだったんですよ。
そのときに、やっぱり何もやらないよりは、失敗してもいいからイベントなり何なり、まずはやってみるべきやなって思ったんです。でも同時に、イベントをするだけでは一過性のものでしかないとも思った。イベントをしないと乗らない、という状況からいかに今後利用してもらえるようにしていくか。未来に加古川線を残して行くためにどうすべきか、利用や存続についてもう一度考えるきっかけになりました。
この先、取り組んでみたいことはありますか?
岸本さん:谷川駅の西側に、久下自治振興会が管理する空き地があるんです。その空き地を公園として活用したり、マルシェや野菜市なんかを開いたりしようと予定しています。あとは、これから高齢者がどんどん増えていくだろうから、グランドゴルフができるような場所を作りたいですね。
それと、何よりも子どもたちが電車と関わる機会を作ってあげたいなと思っています。電車を間近で見られる安全な場所や、簡単なカフェのようなものを作って、子どもや地域のコミュニケーションの場になればいいかな。
失敗したらどうなるかなんて考えていないで、やってダメならしゃあない!そんな気持ちで、駅を中心に活気ある町にしていけたらと思っています。
インタビューを通じて、岸本さんがどれほど地域のことを考えて活動をなさっているかがとても伝わってきました。岸本さんの熱量は、確実に地域の人を動かしているはず。この熱がもっと多くの人に広がれば、谷川駅を中心に人の溢れる街となる日も近いかもしれないと感じました。